「歳のせい」にしないために。2026年に見直す、エイジフレンドリーの実務

「危ない!」――ある物流倉庫で、勤続30年のベテラン社員が通路のわずかな段差に躓き、あわや大怪我になるところでした――こうしたケースにおいて、原因は本人の不注意ではなく、加齢による「身体の変化」、それに対する「環境の整備不足」であったりします。例えば60代が20代と同じ明るさを感じるには、より多くの光量が必要と言われています。

60歳を超えても働き続けることが当たり前になりつつある中、令和2年に厚労省から公表された、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)をご存知でしょうか?その中で示されている、事業者が実施すべき「5つの柱」を改めて確認しましょう。

■ 事業者が実施すべき「5つの柱」

(1)安全衛生管理体制の確立等 

経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当組織や担当者を明確に指定した上で、高年齢労働者の身体機能低下に伴う労働災害のリスクアセスメントを徹底します。

(2)職場環境の改善 

照度の確保や段差解消、補助機器の導入といった「ハード面」の対策と、勤務形態の工夫やゆとりある作業スピードの確保といった「ソフト面」の対策を併行します。

(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握

 健康診断や客観的な体力チェック(体力測定)を実施し、事業者と労働者双方で「今の健康と体力」を客観的に把握します。

(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応

 体力チェックの結果に基づき、個々の能力に適合する業務のマッチングを行うとともに、集団・個人の両面から身体機能の維持・向上プログラムに取り組みます。

(5)安全衛生教育

写真や図、映像など視覚情報を多用したわかりやすい教育を実施します。特に、再雇用などで新しい業務に従事する場合には、より丁寧な教育訓練の時間を確保します。

「高齢者に優しい職場づくり」は、全年代において社員の定着や生産性向上につながる取り組みと言えます。具体的な根拠に基づいて、職場環境のリデザインが進んでいくことが期待されます。

参考)