【2027年4月適用想定】大腸がん検診は2回法から1回法へ 厚労省検討会のまとめ
2026年3月に開催された厚生労働省の「第46回がん検診のあり方に関する検討会」において、3つの見直し案が議論されました。本年夏~来年春にかけて現場にも適用される事柄を中心に、概略をまとめました。
1. 大腸がん検診:「年1回・採便1回法」へのシフトと精密検査の質担保
一次検診における採便回数を現行の2回から「1回法」へ変更する指針改正案が提示されました。背景には、過去70年以上にわたり報告された研究を解析した結果1回法と2回法で精度に統計学的な差がみられなかったこと、1回法の方が受診率(検体提出率)の向上が見込めることが挙げられています。準備期間を経て、2027年(令和9年)4月1日からの適用が想定されています。
一方で、他のがん検診との整合性を図るために「具体的な精密検査手法(全大腸内視鏡検査など)」の記載を削除するという事務局案に対しては、専門外の医師による不適切な指導(「もう一度検便をしよう」など)やがんの見落としを懸念する慎重論が出たことから、関連学会のガイドライン参照など、国が精密検査の質を担保する方向性を示す方向で再検討することとなりました。
2. 高濃度乳房:「知らせっぱなし」を防ぐ説明資材の策定へ
乳房に乳腺組織が多くマンモグラフィで白く写ることでがんの診断が難しくなる「高濃度乳房」について、関連3団体が「通知が望ましい」との新見解を示したことを受け、国としても個別通知へ舵を切る提案がなされました。
調査では40代の約6割、50代の約5割が該当することが判明していますが、現在通知を行っている自治体の半数が「(超音波検査の提案をするといった)その後の行動指針を伝えていない」という実態が浮き彫りになりました。委員からは、受診者に過度な不安を与えないよう「病気ではないこと」や「乳房への日頃の関心(ブレスト・アウェアネス)」をセットで伝える丁寧な情報提供を義務づけるべきだとの声があがりました。また、保険適用外(任意検診)となる可能性が高い超音波(エコー)検査への誘導や、地域の医療機関リスト化など、現場の混乱を防ぐための説明資材・体制の整理を本年夏頃を目途に進める方針が確認されました。
3. 二重読影の規定:AI活用に向けた2つの実証検証を開始
政府の規制改革推進会議等の提言を受け、肺がん・乳がん・胃がん検診等で義務付けられている「2名以上の医師による二重読影」の規定について、画像診断AIを活用した見直し検証(負担軽減と規定の不要化の2軸)が開始されます。
現場の医師からは「見落としを防ぐために感度を上げると、偽陽性(誤診)が大量に発生して確認負担が増える」というAIの現時点でのジレンマや、検査コスト高騰による社会保障費圧迫への懸念が指摘されました。事務局は、拙速に結論を急がず、まずは専門家と共に評価指標(感度・特異度など)や検証方法論の整理から並行して着手することを明言し、了承されました。
職域におけるがん検診は、従業員の健康を守り、突然の離職を防ぐための重要なスクリーニング機能です。しかし、精密検査の取りこぼしや、不完全な情報通知による過度な不安といった不利益は避けなければなりません。今後も「適切な医療へのアクセス」と「正しい知識の啓発」をサポートできるよう、弊社としても動向を注視してまいります。
【参考リンク】
- 厚生労働省:第46回がん検診のあり方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71872.html - 国立がん研究センターがん対策研究所:がん検診ガイドライン
https://canscreen.ncc.go.jp/guideline/list.html


