【感染症情報】はしか、百日ぜきが昨年を大きく超えるペースで急増中

国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、4月13日までに報告された今年の麻疹(はしか)感染者数は全国で78人で、すでに昨年の総数を大きく上回っています。

麻疹は10~12日間の潜伏期間を経て発症するウイルス感染症で、発熱と発疹を特徴とし、肺炎や中耳炎などを伴うこともあるほか、その昔には「命定め」と呼ばれ命に関わる病気として恐れられてきました。

 感染した人の一部が、脳炎になって非常に危険な状態に陥ることがあるほか、まれながら回復後数年以上すぎてから、知能障害や運動障害を引き起こす「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症することがあります。悲しいことにお子さんをSSPEで亡くされた方の記事を読ませていただいたことがありますが、これまですくすくと成長してきたお子さんが小学校入学後、徐々にに運動障害をきたし、最終的には寝たきりとなって話すこともできなくなり・・・という、言葉を失うものでした。

 麻疹は感染力がとても強く、例えば感染者と麻疹への免疫を充分持たない人が、体育館のように広く大きな空間で離れて滞在していたとしても、感染する可能性があります。予防のためには2回のワクチン接種が重要です。妊婦や乳児など、ワクチンが接種できない人たちもいるため、自分自身はもちろん、接種できない人たちを守るためにも、周囲の人がしっかりとワクチン接種し集団免疫を高めておくことが必要となります。

 大阪での万博開催によって海外からの旅行者や人の移動が増えていることから、感染への警戒が呼び掛けられています。疑わしい症状がある場合には、事前に医療機関に連絡を入れて指示を仰いだ上で、受診するようにしましょう。

 また、激しい席を引き起こす細菌感染症「百日ぜき」も全国で急増しており、13日までの1週間で報告されただけでも1200人以上に上ります。今年の累積は7千人を超え、こちらも昨年の総数を大幅に超えています。

 百日ぜきは咳やくしゃみなどの飛沫、汚染された手などとの接触により広がりますが、せき発作が長く続く上に、激しいせきにより肋骨(ろっこつ)が骨折してしまうようなこともあります。小さな子供では無呼吸や痙攣の原因になるほか、肺炎・脳症など重い合併症をきたして命に関わることもあります。

 こちらもワクチンによって予防することが可能な感染症ですが、乳児期の予防接種の効果は小学校就学時期には低下してしまうため、小児科学会は小児期の追加接種を推奨しています。長引くせきが治らない、周囲にも似た症状の人がいるという場合には受診をするようにしてください。

国立健康危機管理研究機構