なくしたい“Karoshi”(過労死)

厚生労働省より、令和5年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されています。

厚生労働省の定義では「業務における過重な負荷による
脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする
死亡やこれらの疾患のこと」が過労死等とされています。

今回の報告では労災請求件数・支給決定件数共に前年度から増加しており、
支給決定された1,099件中、死亡・自殺(未遂を含む)件数は137件となっています。

2002年に“Karoshi”とオックスフォード英語辞典に掲載されたことでも、
世界的に不名誉な注目を浴びた過労死。
20年以上経過した今日でも、深刻な問題であることに胸が痛みます。
働き方改革が叫ばれるようになって数年、国の施策や各企業の取り組み、
働き方の多様化が進んだことで改善された部分もありますが、
依然として厳しい環境で働く方々もおり、
以前より状況が複雑になっているケースもあります。

私たちが普段感じる疲労は、基本的には休むことで回復すると考えられています。
しかし、回復力を上回る大きさの負担があると、
それは「過ぎたる疲労=過労」となります。

疲労回復に重要なのが睡眠ですが、
勤務終了時刻から翌始業時刻までの間隔(勤務間インターバル)が短いと
睡眠時間の減少や睡眠の質の低下、心筋梗塞リスクの増加など、
さまざまな健康影響が生じることがわかっています。
具体的には11時間以上の勤務間インターバルを確保し、
その間に十分な睡眠(個人差はあるものの、6時間以上が目安とされています)
をとることが疲労回復に重要とされています。
2019年4月からは、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。
日々多忙な労働者にお会いしていますが、
忙しくても健康を維持されている方は、やはり睡眠時間を削らないよう努力されています。

人によっては夏休みを取る方もいる時期ですが、一人でも多くの方が、より良く休めますように。

厚労省HP 令和5年度「過労死等の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html

労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター
https://records.johas.go.jp/