個人事業主の健康 ~ガイドライン策定を啓発のきっかけに~
歴史的に、これまでの労働安全衛生上の対策は、
労使関係の下での「労働者」の安全と健康の確保を目的としてきました。
そのため、労働安全衛生法にも個人事業者や中小企業事業主等を対象とした
具体的な保護措置は設けられておらず、これらの方々が労働災害の
被災者となっているケースも相当数に上ることが指摘されています。
また、こうした方々は健康診断の受診率も低いことが分かっています。
「自社社員でないから無関係」ということはなく、
例えば受発注先の担当者が倒れてしまえば、
自社の事業継続に大きな影響が出ることもあり得ます。
こうした背景から有識者による検討会が設置され、
「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」が策定されました。
類似の作業を行う場合には、労使関係のある「労働者」でなくとも
同等の安全衛生水準で働くことができるよう、個人及び中小企業の事業主が
自身で行うべき事柄や注文者および関係団体が配慮すべきポイント等をまとめたものです。
働き方の多様化を背景に、今後従来の労使関係に基づく「労働者」の考え方では
保護されない働き方をする人が増えてくることが予想されます。
ガイドライン策定を機に、それぞれの立場でできることは何か、考え、
話し合うことが期待されます。
参考:厚労省HP
個人事業者等の健康管理に関するガイドラインの策定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40367.html